激しい雨が降って、止んだ。
きいろと山吹とピンクのまじった桔梗が窓の外で風に吹かれてる。
(このこたちはフランス語だとなんだろう。桔梗じゃないはずだ。)
うちには花瓶がないので、彼らは昨日飲んだハイネケンの瓶に入ってる。
窮屈そうなような、寄り添えてちょうどよさそうなかんじで。
さっきの風雨が嘘のように青空とのコントラストがきれい。
なのに部屋は焼き肉みたいなにおいが充満してる。
夜はフェットだからね。
ご飯を作る。
ほんとうに食べたいのはレモンのきいたレアチーズケーキで、
実家にいたときはよく作っていたのに、
レシピどころか材料すら思い出せなかった私。
一番欲しいものはいつも選ばない。
選べないことの方が多い。
感傷的だな。
きっと昨日自分の短歌を読み返したからだ。
ずっと、高校生だった自分が何してたかよく思い出せなかったのに、
気持ちの悪いほど鮮明に思い出しすぎてしまったからかもしれない。
いつも忘れる為に文章を、文字を、うたを書いてきた。
書いた事実を忘れる為だけに。
そして読み返すことのないように、次を、次を、次を増やした。
なぜ急に読み返す気になったのだろう。
しかし雨上がりの私の部屋にはジャズが似合わないなあ。
ログハウスみたいなのがいけない。
やまやの手ぬぐいもいけない。
パリは飛行機がよく飛んでる。
朝も昼も夜もずっと。
絶えることなく。
まだチケットはとっていない。
とても感じの悪い対応で、パリに多い日本人だった。
長く生き残る為にあの手この手を使い心を擦り切らした人。
わたしはそうはなりたくない。
でも、だからといってパリを去るんではない。
来週にでも大韓航空の窓口に直接行こう。
会わなくてはならない人がいる、日本に帰るんだ。