私にはわからないでいた。特に、何がということもなく可も不可もなく、やりたいこともせず、やりたくないこともしない毎日を考え続けることが。ただ時折、平坦でくせのないアールグレイを飲みながら、一体どこがどう違っているのかということには思いをはせたりしていた。水質のせいなのか、はたまたただの思い過ごしか。同じ箱に入っているものなのに。と、気付けば手にビールを持っていることが少なくない。晴れればどこまでも追いかけてくる太陽の下で、普通の水を飲む回数は目に見えて減っていた。ノドが、乾いて仕方なかったのだ。一度、同僚の言葉を聞いてからというもの、その考えは私の頭に根を張り、離れなかったからであるともいえる。しかし、今の状況からみてみると、湿度の高い日本でこそビールはおいしい。ただ、環境が整っていないだけで。そんなことを考えるうちに最後の泡がのぼっていくのを見ながら一口を終えた。母は相変わらず韓国ドラマに熱を上げ、妹は、テレビをつけたまま眠っている。父は、私の部屋で寝ているため、不明。私は、久しぶりに手帳に日記を書いている。いつの間にか期限の過ぎたエクスポやアールグレイや幼馴染の新しい彼氏や東京への道順を考えながら。エアコンのない生活の中にいた2人やエアコンのある生活の4人を考えながら。もう汗をかかない銀河高原ビールのグラスをにらみながら。