月は どこだ ?
と思っていたら、なるほど、いつもよりも帰りが遅かったから、定位置にいないのだ と気づく。弱っているときは、そんな些細なことで泣きそうになる。紫煙を燻らせながら、わたしもAも長生きしなさそうだなあと思う。昔は、幼なじみのKがいなくなったら、この世を生きていけないと思っていたけれど、案外そうもいかなかった。わたしが先に逃げた。人生は予想外なことであふれている。むしろ予想通りに行くことなんてない。ほとんどない。